エンジニアの働き方の一つに、SES(※)契約を結ぶ方法があります。これは、企業からの要請に応じ、エンジニアを業務委託契約で就業させる契約形態です。
SES契約を締結することは一般化していますが、その理由の一つは、事業やプロジェクトの拡大・縮小を柔軟に遂行できることにあります。
例えば、あるプロジェクトに正社員のエンジニアを参加させると、途中でプロジェクトが縮小したり終了した場合の費用面でのリスクが高くなります。特にIT業界では、メガヒットといわれるプロジェクトはほんの一握りで、黒字となる事業の割合は1割ほどといわれるので、採算が取れない事業から早めに撤退することが普通です。そのため、柔軟に組織を運用できるカギとして、SES契約が重宝されています。
また、短期的なプロジェクトのためにIT技術者を要請する場合に採用や教育にかかるコストを大幅に削減できるため、SES契約での依頼には大きなメリットがあります。
SES契約が普及している別の理由として、エンジニアを供給する側のSES企業がメリットを感じているという点もあります。
SES契約と似ているものに派遣契約がありますが、違いは指揮命令権の所在にあります。SES契約では指揮命令権がSES企業にあるため、働き方や仕事の分担などに関して直接指示することができ、エンジニアの管理が容易になります。エンジニア側から見ても、トラブルが起きた際に客先以外に相談できる窓口があるSES契約を好む傾向があります。
(※SESの詳細については【SESエンジニア研究室】をご参照ください。)